ふたつの意識だけではなかった!? 《基本的な記事②》

 

 

もし経験したことすべてが定着するようだと、脳は不要な情報で溢れかえってしまう。
ハエの羽ばたきが一回ずつ区別できたら、そちらにばかり気が取られるのと同じことだ。
だから記憶として永続的に保管するのは、厳選されたごく一部の経験だけなのである。

  リタ・カーター 「脳と意識の地形図」

 

 基本的な記事①はこちら

 

 

あなたの現実を狂わすもの

基本的な記事その①では、もっとも当たり前だけど、もっとも本質的な内容を書きました。今度はさらなる領域に迫っていきたいと思います。

意識構造は2つの領域にわけられる、と伝えましたが、正確に表現するなら3つにわけることもできます。

顕在意識と潜在意識は元はひとつの意識です。それを表現するとき、顕在意識は氷山の一角である、と言うことがあります。

これはつまり、「水面から見えているのはほんの一角にすぎないが、その下には大きな氷山が隠れている」という、
顕在意識と潜在意識の違いを表現しています。

ただし、このふたつの領域を隔てるもうひとつの分野があります。

それがクリティカルファクターと呼ばれるものです。

 

クリティカル・ファクターとは

 直訳すると「評論・批判する要素・原因」つまり、目の前の出来事や誰かの言葉、ふいに見た光景、新しい体験など、それらを判断し識別するときに潜在する情報を、その都度フィルターにかけていきます。

クリティカル・ファクターというフィルター(ふるい)にかけられ、通った情報だけが顕在意識に浮かびます。
逆に、ふるいにかかった情報は顕在化しないため、認識できません。

例えば、あなたが目の前で起きた出来事に対して「かなしい」という気持ちを顕在化させたとしましょう。そのとき、このようにわけてみます。

(1)ふるいにかけられ、通った情報・・・かなしい
(2)ふるいにかかって通らなかった情報・・・??????(潜在しているのでわかりません。)

つまり、いくら「かなしい」と知覚し、その出来事がどっからどう見ても「かなしいと感じる出来事」としか思えなかったとしても、
それは「ふるいにかけられた後」のこと。

本当は、他のが顕在化してもよかったはずです。

「うれしい」でも
「おかしい」でも
「たのしい」でも
「うざい」でも、よかった。

でも、あなたは「かなしい」を結果的に選びました。

選んだつもりがなくとも、あなたの自動化されたプログラム(習慣、パターン)が、勝手に選んでしまったのです。

 

出てきた料理(現実)が不味くても、どうもしない?

では、クリティカル・ファクターを入れてもう一度、顕在意識と潜在意識について解説します。

ここではそれぞれの役割に注目しながら、どうして人は、現実に不満を抱いてもそれをどうすることもできないのか?
現実を変える、とはどういうことなのか?について説明したいと思います。

 

3つそれぞれの役割が違う(レストラン編) 

顕在意識

料理を盛るお皿そのもの、料理を盛るお皿を見る人

クリティカル・ファクター

キッチンのコックさん、料理場

 

潜在意識

冷蔵庫、食料保存庫

あなたがレストランに行ったとします。
そのとき、料理を注文しますよね。その注文を聞いた後しばらく待つと料理が出てきます。

しかし、注文するときは基本的にメニューの名前を伝えますよね。
具体的な調理方法や素材の注文はしないはずです。

そうすると、レストランにいるコックさんが、レストランにある冷蔵庫の中から食材を出してきて、コックさんの調理方法で完成させます。

そして、あなたの目の前のお皿にはそのレストランの料理がのって出てくるわけです。

意識の3構造

これを、意識の3構造にわけてみるとこのようになります。

まず、あなたは注文をします。例えば誰かに◎◎と言われたとしましょう。
それに対して反射的に『どういうこと?』と問いかけました。この問いかけが注文となって潜在意識に届きます。

そこで、潜在意識に保管されている様々な情報(記憶)を探ります。レストランの冷蔵庫の食材を漁るのと同じで、注文されたものに応えるための情報をリサーチします。(無意識、自動的)

さらにその後、一度調理する必要があるため、クリティカル・ファクターというキッチンへと投げます。

素材そのままではお皿に盛れない。

サラダを頼まれて、人参ときゅうりとレタスを丸ごと出すレストランはないはず。

そのため、クリティカル・ファクターでの調理がその後はじまります。(無意識、自動的)

最終的に調理された結果の認識や判断、解釈を顕在意識という名のお皿に盛る。
これで完成です。

 

コックさんがたまに本気でうっとうしい

ここで注目すべき点は、コックさん(クリティカル・ファクター)です。

レストランにはレストランのコックさんがいるように、そのお店ごとのクセや特徴があります。

コックさんには、コックさんの慣れ親しんだ調理方法があり、慣れ親しんだレシピがあります。

中華料理を20年やってきたコックさんが、今さらイタリアンを作れと言われても、
急すぎて何をどうしたらいいか、わかりません。

つまり、わたしたちというのはひとつのお店のようなもの。
そのお店にはそれぞれクセのあるコックさんがいる。
それに、お店だけの食材倉庫や冷蔵庫や調味料があり、お店ごとにそれは微妙に違う。

ここからもわかるように、わたしたちはとにかく自分だけの価値観、自分だけの記憶、自分だけの習慣によって現実を見ています。

しかも、それはあるがままの現実ではなく、コックさんによって調理された結果の現実。

では、例えばこうイメージしてみましょう。
あなたはイタリアンのお店に行って、中華料理を注文したとしましょう。
そもそもメニューにはありませんが、それでもなんとか作ってもらおうとします。

そこで注文が細くなります。
あれをこうして、これをこうして、あの素材とこの素材を使ってね、と。

コックさんは忠実ですから、イタリアンのお店ですが冷蔵庫からなんとか中華の素材を探してこようとします。
素材は見つかったとしましょう。

しかし今度はコックさんの腕前が気になるところ。
何せ、長年イタリアンばかり作ってきましたから、その腕には自信があるものの、いきなり中華と言われると・・・

間違えて、ごま油のかわりにオリーブオイルを使ってしまったり。
間違えて、中華麺じゃなくてパスタを使ってしまったり。

コックさんはいきなり、今までと違うことを言われても混乱します。この混乱はそのまま料理にも現れ、結果的に「中華風、イタリアン」が出てきてしまう、ということなのです。

これが意味すること。それをわかりやすく箇条書きにしてみました。

1、わたしたちには既に習慣化された現実調理パターンがある

2、そのパターンを例えるなら、長年同じジャンルの料理をしてきたコックさん

3、いきなりジャンルを変えても、コックさん困る

4、コックさんの焦りは、お客さんにも伝わる

5、練習しないうちは、まずい料理が出てくる。

6、まずい料理とは、「まずい現実」のこと。

 

結論

結論その1:現実を変えるためには、まずコックさんの今のジャンルを知ること(あなたの認識癖、思考癖、解釈パターンを知ること)

結論その2:コックさんの習慣を無視した場合、とんちんかんな料理がでてくる(いきなり今までとは違う考え方をしても違和感ある)

結論その3:しかし、時間をかければコックさんの腕前は上達する!(現実を見つめる視点、切り取る視点、解釈パターンは、変更可能。潜在意識は書き換えられる。)

いかがでしょうか?

潜在意識のことや、クリティカル・ファクターのことなどがより一層理解できたのではないかと思います。

では、続きの記事では投影の法則について、解説していきたいと思います。

基本的な記事その③へ続く。

 

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